オフィス移転を行うメリットとデメリットを徹底解説
オフィス移転を行う際に真剣に考えたいのが、その移転によってどのようなメリットがあるのかということです。
オフィス移転には、費用や労力がかかるというデメリットは間違いなく存在します。
そのデメリットよりも、会社にとってメリットの方が大きいのかどうかを吟味しなくてはいけません。
ここでは、オフィス移転のメリットとデメリットを徹底解説していきます。
オフィス移転のメリット
オフィス移転のメリットとはどのようなものがあるでしょうか。
今のオフィスよりも立地がよければ、集客にも大きな効果を発揮するかもしれません。
オフィスが変わるということで、社内に新しい風が吹き、社員間でのコミュニケーションが普段よりも活発になることもあり得ます。
オフィス移転のメリットを項目別に解説していきます。
コスト削減
近年、テレワークの普及などで、在宅で勤務をすることができるようになった方も多いのではないでしょうか。
以前と比べオフィスを活用しなくても仕事が進められるようになっている場合には、今使っているオフィス空間には無駄があるかもしれません。
例えば、フロアを跨いでオフィスを借りている場合、一つのフロアで間に合うのなら、残りのフロアにかかってくるコストは全て無駄になってしまいます。
賃貸料という固定費を削減できるのは非常に大きなメリットです。
ビジネスの種類にもよりますが、経営者も利益率を上げる為のコスト管理に頭を痛めていることでしょう。
コスト管理を考える上で利益率を圧迫してしまいがちなものとして「地代家賃」・「人件費」・「水道光熱費などのインフラ関連」の3つがあげられますが、オフィス移転を行う事でそれらすべての改善が期待できます。
立地がビジネスの明暗を分けるような立地に変動されない固定費型ビジネスの場合には、コスト削減のことだけを考えるわけにはいきませんが、変動費型ビジネスの場合には、少しでも利益率を高めていくというのは有効な手段です。
下記にて、固定費型ビジネスと変動費型ビジネスを簡単にまとめていますので、参考にしてください。
固定費型ビジネス | 変動費型ビジネス |
---|---|
製造業・建設業 (設備投資・人件費が大きな費用) |
卸売業 (仕入れが大きな費用) |
サービス業 (人件費が大きな費用) |
小売業 (仕入れが大きな費用) |
作業効率アップ
ただ、オフィス移転を機に作業効率を高めることもできます。
オフィスが変わっただけでは、移転をするメリットは少ないかもしれません。
しかし、現状のオフィスの課題を洗い出し、その課題をクリアするようなオフィスであれば、移転のメリットも大きくなります。
例えば、旧オフィスで仕事が進まなかったのは、会議室が、他部署とのブッキングを避けるために予約制になっていたことで、意思決定に時間がかかってしまっていたからだとしましょう。
それを踏まえ新オフィスでは、オフィス内に社員が共同で利用できるワークスペース・会議スペースが設けられたとします。
必要な時に必要な量の会議を自分たちの裁量で行うことができるのですから、大きな仕事もスムーズに進行することが予想されます。
費用対効果を意識した作業と生産性向上にもメリットが期待できます。
コミュニケーションの活性化
オフィス移転によってオフィス内のレイアウトを変えれば、社員間でのコミュニケーションの質も変わってきます。
一昔前の企業のオフィスと言えば、固定デスク型の配置になっているものが多く、部署ごとにまとまって、いつでも業務に必要なコミュニケーションをそのまとまりの中で取るというイメージでした。
しかし、今では、部署を超えて仕事を共有する必要性やメリットを感じている企業も多く、従来の固定レイアウト型からフリーアドレス型を導入する企業も増えてきているのです。
社員はノートパソコンが一台あれば、社内のどこにいても仕事ができる仕組みです。
今日と明日で隣にいる人が全然違うということも珍しくなく、毎日が新鮮な気持ちで仕事に取り組むことができます。
ワークスタイルも多様化している今、部署を超えたコミュニケーションの幅も広がり、チーム全体としての組織力の向上も図れるというのは大きなメリットと言えるでしょう。
問題点の改善
今のオフィスには仕事とは直接関係はないけれど、ストレスを感じさせたり、不便さを感じるところはありませんか?
例えば、
・集中して作業するスペースがない
・コードの配線が床中にある
・オフィスの構造上、机の配置が固定される
・備品収納スペースがない
など、他にもあると思いますが、これらの問題点を放っておくと、自然と作業効率や生産性も下がってしまいます。
オフィス移転をする際には、自分たちが今抱えている問題をどのぐらい解決することができるかも考えておけるとよいです。
問題を多く解決できれば、その分、移転のメリットも大きくなります。
企業ブランディング
企業ブランディングとは、一言で表現するなら、「企業に関わる人がもつ会社へのイメージ戦略」ということになります。
ここで、注目したいのは、顧客だけでなく会社に関わりのある人全員というところです。
製造業であれば、その製品を購入するお客様は製品の品質や購入のメリットも考えます。
しかし、考える時の参考材料に、どこの会社の商品なのかも無意識に入り込んでくるのです。
人がモノを購入する時の参考材料は「信頼」「概要」「メリット」です。
この3つの中の「信頼」(=イメージ)は人の購買意欲に直結するのです。
オフィス移転は、そこで過ごす人たちが使いやすければよいという単純な問題でもありません。
顧客や株主も含めた会社に関わる人のイメージとオフィスのイメージが一致しているということが信頼の向上につながっていきます。
オフィス移転で会社に関わる人たちと一体感を創出することができるという大きなメリットがあります。
優秀な人材を集めやすくなる
企業ブランディングに似ていますが、会社に関わる人のイメージ・印象が変わるということは、これから関わろうとする人たちにも影響を与えます。
見込み顧客もそうですが、企業に採用されたいと考えるいわゆる就労希望者(就活生)も例外ではありません。
オフィスの立地やお洒落な印象は働き手に魅力として映ります。
最近では、企業も採用活動のために莫大な費用を採用広告だけにかけるというよりも、オフィス移転をすることによって企業ブランディングも併せて採用強化を行っているところも増えてきています。
オフィス移転のデメリット
メリットが大きいオフィス移転ですが、デメリットもあります。
普段と違う環境で仕事をすることに対して新鮮さを強く感じることもあれば、普段と違って居心地がよくないと感じることもあるかもしれません。
どのようなデメリットがあるのかを項目別に解説していきます。
手間がかかる
オフィス移転をするために、普段の業務を全てストップするというわけにはいきません。
通常の仕事は行いながらオフィス移転も行っていくわけですから、移転が終わるまでは、仕事量が倍になるという感覚です。
オフィス移転にかかる手間は想像を超えてきます。
備品や物品などの移動は想像できると思いますが、各種書類の手続きが煩雑です。
新オフィスの物件を探すことはもちろん、新オフィスのレイアウトを考えることなどもそうですが、今使っているオフィスの解約予約をし、原状復帰工事もしなくてはいけません。
物を移動してそれで終わりというような単純な話ではないですから、スケジューリングを1週間から1ヶ月単位で細かく決めて動くことが必要になります。
コストがかかる
オフィス移転そのものにもコストは当然発生します。
移転にかかる費用としては、「引越し費用」、「廃棄費用」と「原状復帰に必要な工事費用」が大きなものになります。
その他に移転先のオフィスに工事を施す必要があれば、そこにも費用が発生します。
一般的には、次にまとめてあるような費用がかかってきます。
原状復帰費用 | 1坪当たり30万円程度が相場 |
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引越し費用 | 社員数によって異なりますが、社員数の3倍が費用の相場 例)社員が10人の場合には30万円が相場 |
移転先物件に関する費用 | 不動産取得費用やネット回線の工事費用など全ての合計で1坪当たり15万円程度が相場 |
敷金など | 賃料の6ヶ月~12ヶ月が相場 |
他にも廃棄物を業者に引き取ってもらうなどの費用を考えると、上記以外にもコストはかかります。
オフィス移転をする際には不用品までも移す必要はありませんから、この機会に廃棄してしまうのが妥当と言えるでしょう。
このように、一度に多くのコストがかかるというのがオフィス移転のデメリットです。
移転場所によっては通勤に時間がかかる社員も出てくる
移転先によっては社員の通勤時間が長くなるということも予想されます。
これは働く社員にとっては大きなデメリットです。
通勤時間が変われば、必然的に毎日の生活リズムが変わっていきます。
ワークライフバランスを重要視している現代の若者たちにとっては、会社を辞めるかどうかという問題すら浮上しかねません。
オフィス移転によって最も大きな影響を受けるのはそこで働く社員であるということは忘れないようにできるとよいです。
社員の通勤時間がどのぐらい変わるのかを事前にシミュレーションをしておきましょう。
そのうえで、会社にとってオフィスを移転させることが必要であるということと、その背景となる情報の格差を社員と管理職の人たちとの間で埋めておく必要もあります。
移転の必要性を会社全体で共有されていることが望ましいでしょう。
まとめ
オフィス移転には大きなメリットがある反面、費用や手間がかかるというデメリットがあるということも否めません。
現状のオフィスの課題が何であるのか、移転後のオフィスには今以上に、どのようなメリットがあり、どんな課題を解決できるのかということが重要なポイントです。
検討されている場合には、手間ひまをかけてオフィス移転をするのですから、会社、社員、顧客のいずれにおいてもプラスになるようなものを考え抜いて実践しましょう。